ブルターニュ半島の小村、ポン=タヴェンに滞在していたゴーギャンは、平坦な色面に強い輪郭線というクロワゾニスムの手法で描いていた若きベルナールと出会います。そして、たちまち意気投合した二人は、総合主義と呼ばれる理論を打ち立てました。これは、クロワゾニスムに基づく力強い描法に、主観的な内容を総合するというものでした。総合主義の理論は若い画家たちをひきつけ、この地に、ゴーギャンを中心としたポン=タヴェン派と呼ばれる一派を形成することになります。平面的で装飾的な力強い画面構成と、豊かな精神性を宿した象徴主義的な志向は、ナビ派の登場にもつながりました。
若干20歳のベルナールが、ポン=タヴェンを流れるアヴェン川ほとりの、通称「愛の森」に横たわる妹マドレーヌを描いた作品。前景にひときわ大きく描かれた彼女は、総合主義という新しい理念の創出を見守る女神のように、優美に力強く表現されています。