作品紹介

1888年秋、ゴーギャンの指導のもと、セリュジエが一枚の風景画、《護符(タリスマン)》を仕上げます。抽象絵画のようにも見えるこの小さな作品は、自然の色の束縛から脱した大胆な色彩で描かれていました。これをきっかけに、セリュジエ、ドニ、ボナール、ヴュイヤールらは、ナビ派を結成します。ヘブライ語で「預言者」を意味する「ナビ」というグループ名にも伺われるように、ナビ派は象徴主義的な精神土壌に根ざしていました。また、絵画を「ある一定の秩序のもとに集められた色彩で覆われた平面」とするドニの有名な言葉や、日本の浮世絵に深く影響されたボナールの作品が示すように、平坦な色面を多用した装飾的な画面に大きな特質があります。色彩そのものの喚起力を生かした描法は、後の絵画にも大きな影響を与えました。

ピエール・ボナール《格子柄のブラウス》

ピエール・ボナール《格子柄のブラウス》

「日本かぶれのナビ」と呼ばれたボナールが、浮世絵などの日本美術の影響を強く受けて描いた作品。西洋の伝統にはない縦長の判型、遠近法の喪失、模様のように貼り付けられたブラウスの明るい格子模様は、ボナールの熱狂ぶりを伝えています。

モーリス・ドニ《緑の木立の風景》

モーリス・ドニ《緑の木立の風景》

画面をリズミカルに分断する緑色の木々の向こうの、平坦な白い雲と白い衣の乙女たちの列。さらに後景では、天使が羽根を広げています。ナビ派の理論家で象徴主義に近しかった当時のドニの思想がよく表れている作品です。

フェリックス・ヴァロットン《ボール》

フェリックス・ヴァロットン《ボール》