ナビ派のボナールやヴュイヤールらは、身近な室内の情景を好んで描きました。親密で内面的(アンティーム)な雰囲気を強く漂わせるその画風は、アンティミスムと呼ばれています。題材は身近なものですが、ここにもまた、当時大きな影響力をもった象徴主義的な世界観が色濃く反映しています。象徴主義は、目に見えない観念や思想を表現しようと試みた点で、移ろいやすい外界の様相に着目した印象派と好対照です。たとえば、象徴主義を代表するモローは、神話や聖書を主題にした神秘的な画面に、深い精神性を表現しました。一方、アンティミスムの作品は、ナビ派に特有の造形的効果と、閉じた空間内での私的な物語を連想させる場面設定によって、見る者の感覚を直接揺さぶります。
同系色でまとめた平板な色面の組み合わせが、ナビ派の造形的特質をよく伝えています。一方、眠りという主題は、理性の背後にある豊かな精神世界への没入を暗示しています。
モローの代表作。詩人で竪琴の名手オルフェウスは、愛妻を失った悲しみにより女性を遠ざけ、これに怒りを覚えたバッカスの巫女たちにより虐殺されてしまいます。この悲劇的な情景をモローは、甘美かつ幻想的に表現しています。
静かに祈る貧しい漁夫とその背後の二人の子供。人体の表現は平板で、水平線が高く設定された背景も、色調を抑え平面的に描かれています。特定の物語に基づかないこの作品は、その簡略で抑制された造形そのものによって、深い宗教的感情を呼び起こします。